協賛企業コラボ企画_IT×ベーカリー 【第1回】

協賛企業コラボ企画_IT×ベーカリー  【第1回】

協賛企業コラボ企画_IT×ベーカリー【第1回】

 

 

コロナに始まり、コロナで終わる1年となった2020年。そんな先の読めない時代に、ベーカリー専用サービス「パンタベル」でベーカリー業界に新規参入した株式会社ネクストスケープ。そのサービス責任者山﨑成人氏とIT企業視点でベーカリー業界について考えていく新連載「IT×ベーカリー」。初回となる今回は、「データ活用」に焦点を当てて考えていく。

 

━ここ数年、ベーカリー業界でも「データ活用」というフレーズをよく聞くようになりました。しかし、そもそも「データ」とは何なのでしょうか?

 

「データ」とは、簡単に言うと「事実を記録したもの」です。例えば、私は今朝7時に起床し、歯を磨いてコーヒーを飲みました。これが事実で、それをノートやスマホなど、どこかしらに記録したとき、それが「データ」となります。そしてそれを毎日記録し続けると「データがたまる」状態となり、価値が生まれてきます。

 

━なるほど。難しく考えていましたが、要は日記みたいなものですね。

 

日記なんてまさにデータそのものです。なので、データ活用の第一歩は「記録してデータをためること」から始まります。ここ数年、ベーカリー業界でも「データ活用」に注目が集まっているのは、個人店でも簡単にたまったデータにアクセスし、分析できるようになったからだと思います。Airレジのようなレジサービスが代表例ですね。

 

━ パン屋ではどんなデータをためればいいのでしょうか?

 

記録すべきデータは解決したい課題や疑問によって決まるので、まずは課題の設定や疑問をもつことから始めるといいと思います。最初から「お店の売上を倍にしたい」といったような課題を設定するとどこから手を付けていいか分からなくなるので、小さな課題から始めることをおススメします。

 

━具体的に教えてください。

 

例えば、「いつも売れ残る商品Aの売上を倍にしたい」などです。お店全体の売上ではなく、商品1つにターゲットを絞ることでやることが限られ、考えやすくなります。そして次に、分析に必要そうな指標を見つけて、それを記録します。パっと思いつく指標では、「曜日」「気温」「天候」「売れた時間」「購入者属性(性別、年代)」「一緒に購入した商品」などです。まずは特に対策などは打たず、一定期間(2週間~1か月程度)記録し続け、データをためます。「購入者属性」などは、レジにそういった機能があればそれを活用し、なければ販売スタッフにメモしてもらいます。購入者全員は大変ですが、商品Aを購入した人だけであれば、集計含めそこまで大変ではないはずです。

 

━確かに1商品だけならできそうですね。

 

そして、データがたまったらついに分析です。指標ごとに区切ってみて、商品Aの売れ行きと関連のありそうな指標がないか探します。例えば、「商品Aを買う人は商品Bも一緒に買っているな」とか「金曜日の午前だけやたら売れるな」とかです。そこまで来たら次は検証です。例えば、「商品Aと商品Bがよく一緒に購入されているから横並びで配置してみる」といった対策を講じます。そして同じようにまた一定期間データを取り続け、講じた対策が売れ行きにどう影響するかを検証します。それをひたすら繰り返し正解を探します。

 

━時間がかかりますね。

 

最初は時間がかかりますし、地道な作業になります。ただ、こういったデータをもとにした仮説と検証を繰り返していくうちにシェフ自身の勘が養われて、この商品はこうしたら売れるとか、これがダメならこうだなとかデータを取らずとも正解を出せるようになっていくはずです。結局この辺はパン作りと同じだと思います。「最初は全然自分の思い通りのパンにならないけど、失敗を重ねるごとにどんどん近づいていく。そしてそれを何年も繰り返していくうちに、初回から80点くらい出せるようになる。」といった感じに。

 

━なるほど。何かデータ活用で気を付けるべきポイントはありますか?

 

一番重要なポイントは、「色々な指標を同時にいじらないこと」です。例えば、データを分析したときに「商品Aは商品Bとよく一緒に購入される」ことが分かりました。この時、「商品Aを商品Bの横に置く」という対策を講じるのですが、商品A側を動かしてはいけません。商品Aを動かして商品Bの横にもっていってしまうと、「商品Aの配置を変える」という対策も同時に行ってしまうことになり、売上の影響が配置転換によるものなのか、商品Bの横に置いたことによるものなのか分かりづらくなってしまいます。検証したい商品A側は動かさず、商品B側を商品Aの横にもっていくようにしましょう。

 

━検証する項目は一つずつということですね。

 

はい。その方が時間はかかりますが確実に正解にたどり着けると思います。それから配置やPOPなどマーケティング的な面だけではなく、商品自体の検証も選択肢に入ります。例えば「価格は変えず気持ちサイズを小さくしてみる」や「味を濃くしてみる」など。こういった検証も全て現状を記録しデータがたまっているからこそできることです。データがないと対策の効果を何となくでしか測れず、正解にたどり着く難易度が一気に上がります。

━まずは記録からですね。

 

はい。今回はお店でたまっていくデータの活用について私の考えをお話しました。日々の営業は情報の宝庫なので、まずは無理のない範囲で事実を記録し、データをためてみてほしいです。そしてこれをもう一歩発展させ、政府の統計データやインターネットで公開されているデータを活用し、自身の感覚値と組み合わせて、お店の経営判断に活かす方法もあります。この手法は私自身がパンタベルを企画・立案し、経営陣にプレゼンする際にフル活用したものです。

 (次回へ続く)