「改良剤って何?改良剤の基礎のキソ」 クラブ・ド・サントノーレオンラインセミナー  ダニスコジャパンの斉藤哲子 PART1

「改良剤って何?改良剤の基礎のキソ」 クラブ・ド・サントノーレオンラインセミナー  ダニスコジャパンの斉藤哲子 PART1

今回は製パン業界で活躍されている女性ので構成されている「クラブ・ド・サントノーレ」のオンラインセミナーの模様をお伝えします。

 

同クラブは2006年に、「パン業界の発展のために、パン業界で働く女性が会社の枠を超え、共に学び、情報交換や交流ができる場を作る」という趣旨のもとに、女性有志数人の勉強会からスタートし現在に至っています。

 

当サイトには初登場ですので、HPを貼っておきます。ご興味のある方は問い合わせてみてください。https://club-de-sainthonore.jp/

 

セミナーに先立ち同会会長立木理恵子さんよりコメントがありました。「今日は製パン改良剤に関するセミナーになります。皆さんも使ったことはあるかと思います。作業の効率化ですとか、人手不足といった観点から益々改良剤へのニーズが高まってくると思うので、私たちも使う機会も増えてくると考えられます。今日は改良剤のプロフェッショナルのダニスコジャパンの斉藤哲子さんを講師に迎えて「改良剤って何?改良剤の基礎のキソ」と題して、どういった改良剤を選ぶと良いですよといったポイントまでお話いただいて、全く知らないよという人でも分かり易く解説いただくことになっております。この機会に改良剤について知識を深めていただけたらと思っています」。

セミナーは講師である斉藤さんから自己紹介があり本題へ入っていきました。

今日は改良剤の話ということでお時間いただいております。製パン改良剤セミナー、「改良剤って何?」「改良剤の基礎のキソ」ということでお題をいただきましたので、こちらでお話させていただきます。「改良剤って何?」というところのお話からさせていただきます。

 

最近私が大好きでかなりの頻度で食べているメロンパンです。表示を見ますと、色々な素材で構成されています。主原料は小麦粉、糖類、卵、油脂類、こんにゃくペーストいろいろですね、発酵種はおそらくパンのふんわりさと言ったところでしょう。他にアーモンドプラリネ、レモン果汁、タンパク、デキストリンですかね。そしてスラッシュの後ろが、添加物になります。加工デンプン、乳化剤、増粘剤、増粘多糖類、アルギン酸エステル、膨張剤、イーストフード、カゼインナトリウム、ビタミンC、香料、着色料と、こうしてみる色々とですが、ひとつひとつ効果的なものを選んでいるようです。

全体としておそらくバターとかアーモンドの香りが高く、メロンパンの表面がザクっとなっていて、中身がふんわり、すごくボリューム感があるといったようなパンを目指されているのだろうなというふうに考えられます。食べ手、消費者としてですね、そういうパンだなというふうに感じます。

どういう物性を持たせたくて、どういうクオリティに達したいからこれらの素材を入れていくという考え方ですかね。この中で特にこのスラッシュの後、添加物系、改良剤として添加されている部分ですが、添加物、改良剤が、目指すパンの品質に近づけるために果たす役割は非常に大きなものになってきます。

「改良剤って何?」と言うお題に対しての答えなのですが、読んで字の如く、改良するものです。

ただ、改良と言っても様々です。それでは何を改良するか?と言うところからお話します。工場生産、個店のスクラッチのベーカリーさんで作っているもの、それぞれ目指すところが異なってくるわけですが、大きな工場で作る場合は、元々の配合があり、レシピに対するアプローチとして考えられるのが原価を下げなきければならない、あるいはすごく作りづらいの為安定させたい。又は食感を変えたい、他にもうちょっとしっとりさせたい、クラストの食感を変えたいと言うこともあるかと思います。今SDGsのような取り組みも皆さんなさっていますから、廃棄を減らすように例えばもう半日、もう1日同じような食感が維持できるようにと言うのもすごく大切な目的ですね。効率化、省力化、省人化と言ういうことを考えると、いよいよ生地冷凍も考えなければなりません。こういったそれぞれの要素は改良剤を工夫することで可能になります。

次に何を改良するのか、どんな改良剤を用い、まずどんなパンを作りたいかと言うところを先に明確にする必要があると思います。それによって、どういう境地に達したいかというところで、どんな改良剤を選択すると言うのがまず第一のステージになります。

具体的に何を改良するかと言うことになると、主原料、副材料を選びやミキシングなど作業も関係してきます。あるいは、成形まで作業し後に一度冷凍するなど改良する特性が何かを具体的に理解していく必要があります。

以上のようなことが理解できると、どういった素材を足してやればその目的に達することができるのかという事が、おのずと分かってきます

先程のメロンパンですと砂糖が20%ちかく配合されていますが、改良剤の場合はほんの数%、多くても1~2%、少なければ0.1とか0.2ですので、添加量としては少ないです。

しかし、このピラミッドでは一番上に君臨すると考えられます。少ない添加量でも全体に及ぼすインパクトが大きいものになるので、じっくりこの目的を考え合わせたうえで、どういった改良剤を入れる必要があるかっていうのをみて行かなければなりません。例えば、改良剤の効果で分かりやすいのがボリューム改善です。

無添加に対して、弊社の製剤を0.5%配合しますとボリュームが大きく増します。まったく同じワンローフのパンですけれども、このあり・なしでボリュームが11%異なるわけです。だいぶ見た目に明らかな違いが出るぐらいのボリュームアップがこの改良剤のあり・なしで果たせるということになりますので、目的に応じて添加するとかなりのインパクトを与えることができるというのは確かです。というわけでまとめとしては「改良剤は何か?」といったら、パンにおける何か特性を改良するもの。様々な添加物製剤がある中で製パン用に組成された混合製剤のようなものと言うことができます。

次に改良剤の中身はどんなものだろう?と言うのをいくつか例を挙げてみていきます。

国内で販売されている品質改良剤は何が入っているのか表示されているので、おおよそ中身を知ることができます。Aの場合、塩化アンモニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、シスチン、アミラーゼ、プロテアーゼ、アスコルビン酸。食品素材は添加物ではないので別になっていますけれども、麦芽粉末は添加物的な意味があり、入っているのだろうと考えられます。

Bですが、海外では販売さられておらず、国内での需要率の高い製剤です。こちらの中身をみますと、先程とはだいぶ趣が変わりまして、まずグリセリン脂肪酸イースト、乳化剤のことです。次がインスタントイースト、改良剤なのだけれどもイーストが入っているのでイーストの効果もすごく効いてくる製品です。他に小麦粉、植物油脂があって、グアーガム、ビタミンC、ソルビタン脂肪酸エステル、ヘミセルラーゼ、α-アミラーゼというような組成になっています。ソルビタン脂肪酸エステルは、たぶん生地に対する効果というよりはこの製剤を作る際のイーストの保護といった意味の乳化剤だと思うのですけども、こういった並びは前のAとは全く違うものですね。つまり、違う目的のものということになります。

最後がCですが、小麦粉、ブドウ糖は食品素材なので添加物の根幹としては、α-アミラーゼのみです。前2品と比べるとさっぱりした内容になっております。世の中に出回っている改良剤は他にもありますが、個々の効果を理解する事が重要です。まず、グリセリン脂肪酸エステルに代表される乳化剤。それから、Cに入っているαアミラーゼのような酵素。酵素は前記したどの製剤にも入っています。次にビタミンC。アスコルビン酸と書いてある場合もありますけれども、お肌にいいビタミンCと同じ意味のビタミンC、酸化剤です。それから、今回お見せしている中ではBにだけに入っていますけれども、増粘剤も入っている場合があります。それから、Aの主原料となっているイーストフード。後はキャリアといわれる、賦形剤という時もあります。量をある程度いっぱいにして計量しやすくするという、その他のベースの食品素材というものがあります。大まかに言いますと、こういうものを組み合わせて改良剤と呼ばれる製品が作られています。

先に申し上げたように乳化剤といっても様々な種類がありますし、パンだけでは無く様々な食品にも使用されています。コーヒー牛乳、マーガリン、お菓子類などです。それぞれ同様の乳化剤と言うわけではなく、コーヒー牛乳の場合は水と油を安定化させる意味があります。ラムネのお菓子ぬも使いますが、表面を艶ぽくさせる滑沢剤と言いますが、表面をつるっとさせて、機械からポイッと外れやすくする用途として使われています。パンにおいての乳化剤は2つ目的で使われています。1つは製造を安定化するものです。具体的に言いますと安定化とは今日も明日も同じような物性に仕上げる。捏上温度が違ったり、ミキシングがかかり気味であったりしても、大きな違いが出ないようにする。毎日同じようなボリュームが出るような、ダメージにはへこたれないパン生地を作ります。そういうふうな効果がある乳化剤、データムとかダーテムと呼ばれることが多いですが添加物名としては、ジアセチル酒石酸モノグリです。

 

次が食感を改良するもの。老化を防止させたり、やわらかさ、しっとり感を維持したりするタイプが、モノグリセリド、モノグリセライドです。わかりづらいのが添加物表示名としては、これはどちらもグリセリン脂肪酸エステルという名前になっております。

ですので、改良剤のラベルを見ましょうと申し上げましたが、ラベルを見てもどっちなのかっていうのはわからない場合もあります。

 

この辺りは、メーカーさん又は問屋さんにお聞きになると良いです。ただグリセリン脂肪酸エステルが3割入っていますと言ってもどっちの効果かちょっと分からないのがネックです。とはいえ、こういったタイプの乳化剤がパンには使われます。

 

生地の安定化、ボリュームに効くというふうに申し上げたら、データム、ダーテムは、その乳化剤の分子構造的にタンパクと相互作用がある。タンパクをヒュッとくっつけるような効果がある組成をしているのです。モノグリはその効果がなく、データムだけがその効果がある。タンパクを繋げる効果があります。

→ PART2へ続く