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「HYOGO STOLLEN FEST 2018 」

多様な文化融合から生まれた「兵庫・神戸の食文化」から伝えたいこと

開催期間:2018.12.2~12.24

12月2日(日曜)に「HYOGO シュトレン フェスト 2018」のオープニングセレモニーが神戸北野異人館「風見鶏の館」で開催されました。午前11時より神戸市長、ドイツ総領事、兵庫県パン協同組合関係者の皆さんが訪れ会見が開かれ、その後シュトレンカットが行われました。
同日午後6時からフロインドリーブ本店で記念パーティー(満員御礼)も開かれ多くの人で賑わいました。

今回はイベントのレポートをお伝えします。

イベント趣旨

シュトレンを単体で味わうのではなく、シュトレンをより楽しめる食べ方の提案を行う。「おとな旅神戸」と連携し、コーヒーやワインとシュトレンのペアリングを提案するプログラムを開催する。
兵庫県内のパン店へ参加を呼びかけ、賛同して頂いたお店でHYOGOシュトレンを販売する。パン店のみではなく、街ぐるみでシュトレンやシュトレン文化を知ってもらうきっかけ作りを飲食店、宿泊施設に協力を依頼し、街全体として「シュトレン」を盛り上げて行く。
以上のような試みが地元の人だけではなく、観光目的で訪れた人にもシュトレンの魅力を伝える機会ができ、兵庫県の風物詩になることを目指す。

HYOGO シュトレンは小麦粉に対し
バター30%、ドライフルーツ60%以上を練り込む事 

この配合の理由
ドイツで定められているオーセンティックなおいしさをベースにお店ごとの個性が出せる幅を残した(ドイツのシュトレン基準:小麦粉に対し、油脂30%以上、ドライフルーツ60%以上を練り込み、ピーナッツ以外のナッツを練り込んでもよい。ドライフルーツとはレーズン、サルタナ、カレンズ、オレンジピール、 レモンピールを指す。

シュトレンの歴史

諸説あるが、発祥の地はドレスデンといわれ、1329年のナウムブルグ司教へのクリスマスの贈り物として作られたという記録が残っている。
当時、バターを使用することが禁じられており味は素朴な味わいだった。
1430年にザクセン選帝王がローマ教皇へバターの使用を懇願し、91年にバターの使用が許された。その後、ドライフルーツなどを加え今日のシュトレンの形なっていったと言われている。
ザクセン公国では、毎年クリスマスに宮廷に献上する習慣があり、1730年、アヴグスト強王は2万4000人を招いたパーティーの最後に出す1、8トンものシュトレンを作らせた。8日間かけて焼かれ、1、6mのナイフで客の前で切り分けられた。
その名残が現在も残っており、ドレスデンではクリスマス時期の第2アドヴェント前の土曜日に、シュトレン フェストが開催されている。ドレスデンのパン店が協力して作ったシュトレンが馬車に乗せられて街をパレードし、クリスマスマーケットの会場で1、2mのナイフで切り分けられている。

※ドレスナーシュトレン
ドレスデン地域で焼かれたシュトレン、代々受け継がれてきたレシピ、製法を厳密に守り作られている。品質検査を通過した製品だけがドレスナーシュトレンを名乗ることが出来る。

※アドヴェント
クリスマスを祝う準備期間を指し、本年は12月2日から始まっている

神戸北野異人館「風見鶏の館」でオープニングセレモニー

「HYOGOシュトレンの会 代表」  上原 嘉恒ハインリッヒ 専務理事より挨拶

「はじめに神戸観光局の皆様のご協力があり今日この日が迎えられましたことを心より御礼申し上げます。今年開催されるHYOGO シュトレン フェスト 2018には兵庫県内のベーカリー41社 飲食店17店 その他多くの企業に参加して頂きました。これも兵庫県、神戸市の行政の皆さんのお力があって実現出来ました。兵庫県パン協同組合のご支援が賜れたことも大きな支えとなっております。シュトレンをもっと多くの方たちに知って欲しいという思いで発足した本会ですが、ドイツでも伝わる食文化を受け継いでいければと考えております。この思いに賛同してくれた仲間たちと協力しながら街をあげて開催する日本初のシュトレンイベントとなっております。活動は兵庫県内のベーカリーの皆さんが焼くHYOGO シュトレンの販売と共に県内の飲食店、宿泊施設にも置いてもらい、街中でシュトレンを広めていくつもりです。この活動を通じてHYOGO シュトレンの知名度を上げ、県のクリスマス時期のお土産として認知度を高め、回を重ねるごとに兵庫県の冬の風物詩となる努力していきます。」

来賓からのあいさつ

神戸市長 久元喜造氏

「今日は天候にも恵まれてHYOGO シュトレン フェスト2018がドイツ所縁の風見鶏の館で行われることがお慶び申し上げます。今年、神戸開港150年をむかえました。海外から様々な文化が神戸に入ってきましたが、日本人はドイツやドイツ文化に親しみを感じています。ドイツの食文化のシュトレンも神戸市民は昔から親しんできました。昨年からシュトレンをもっとたくさんの方たちに楽しんでもらおうという取り組みが始まりましたが、今年は更に規模を拡大し58の企業やお店が参加していると聞いております。今日は兵庫県パン協同組合の西川隆夫理事長にも出席頂いていますがパン店の方たちに絶大なご協力を頂いています。是非シュトレンの素晴らしを沢山の人たちに触れて頂き、神戸だけではなく、県内周辺自治体地域も参加して頂いているのでもっともっとシュトレンが兵庫から日本中に広がることを願います。昨年設立された神戸観光局ともタッグを組んで活動していく所存です。」

大阪・神戸ドイツ連邦共和国総領事館 ヴェルナー・ケーラー総領事

「ドイツのカトリック色の強い地域では今日からアドヴェントの期間が始まります。この期間はキリストの誕生を待ち望む時期で昔は断食も行われていました。幼い頃、よく母がクッキーを焼いてくれました。しかしながら12月24日のクリスマス時期が近づくと食べさせてもらえなくなったことを思い出します。クリスマスを前に甘いものを食べるのは厳禁でしたが、現在はこういった風習もかなり変わってきているようです。10月の半ばからお菓子の販売が始まり、アーヘンのプリンテン、ミューデンブルグのレープクーヘン、チョコレートで作ったニコラウス、そしてシュトレンもマジパン、ケシの実、アーモンド他ナッツの入ったものなど様々なシュトレンがあります。妻の家ではクワルクというヨー グルトを使ったシュトレンを作るのが習わしとなっています。以上のような多種多様の焼き菓子の中でこれぞシュトレンと呼べるのがドレスデンのシュトレンです。ドレスデンシュトレンは高い品質で知られており非常に尊重されています。ドレスデンでもこの時期に今日行われているようなシュトレン祭りが始まります。地域のパン屋さんが協力して数メートルのシュトレンを作ってクリスマスマーケットを練り歩き、その後切分けて販売され、売上は福祉目的に使われます。日本でも兵庫県、神戸でシュトレンが愛されているのは喜ばしいことだと感じます。これからも美味しいシュトレンが食べられるイベントであることに期待致します」

兵庫県パン共同組合 西川 隆雄理事長

「パンは色々な国から入ってきた食べ物です。先ほどの話を聞いて思ったのですが10m位の大きさのシュトレンを作ってみませんか。実行委員会の皆さんの活動に賛同したというのもありますが、我々でも何か出来ることがないかと考えました。話題性を作ることで広がりも出てくるはずです。神戸のパン屋さんの知恵を借りて今年のクリスマスに間に合うように出来ないものかと思っています。様々な人から応援してもらえることが会を広げる原動力となるとので、パン屋として本日参列された関係者の皆さんにお礼を申し上げます。」

ベッカライ・ビオ・ブロートのオーナーシェフ 松崎太氏から HYOGOシュトレンの概要に関する話があった

「私は20年ほど前にドイツの様々な地方でパンを学びました。最初の修業先がドレスデンで働き始めたのが12月ということもあり、シュトレン作りの真最中でした。当時若かった私はシュトレンの存在を知らず働きているとシュトレ ンが他のパンとは違う特別なものだということにある日気が付きました。というものも普段現場にほとんど入ってこないオーナーシェフがシュトレンの時期だけはどこからともなく現れて、自分で生地を仕込んで焼き上げまでひとりでシュトレン作りを行っている姿を目にしたからです。シェフは製パン組合の会長だったこともあり、この時期はマスメディアの取材を多く受けていました。こういった経緯によってシュトレンが特別なものだと認識したわけです。それに自分のお店だけではなく町全体でもそういった雰囲気が感じられました。クリスマスマーケットではたくさんのシュトレンが売られていましたし、大きなシュトレンを販売するフェストも行われていました。町の人たちてがシュトレンに力を注いでいたという印象でした。次にシュトレン作りのガイドラインですが、小麦粉100%に対して油脂30%以上配合、ドライフルーツ60%以上配合します。これがドイツでのシュトレン作りの大きな括りとなります。最近は国内でもシュトレン作りが盛んになってきていますがドイツのような定義はありません。それではHYOGO シュトレンの会ではガイドラインを作り、高水準の製品作りを行うようにしました。次にHYOGO シュトレンの定義ですがドライフルーツはドイツと同様にし、油脂はバターのみとしました。以上のような基準を満たした会員さんには金澤翔子さんデザインのシールを貼って販売することを許可しています。皆さんにも分かり易いような目印がHYOGO シュトレンには貼ってありますのでそれを目印にご購入ください。」

フロインドリーブ本店で記念パーティー

サ・マーシュ 西川功晃氏

HYOGOシュトレンの会 アニキ分として紹介

「今日は思う存分シュトレンと料理を楽しんでください!

今年のシュトレンはどんな味なのか、各シェフが作ったシュトレンが楽しみですね。

こんなに多くの人たちが集まって頂いたことに感謝し、うちの会もますます発展出来るよう頑張っていきます。

皆さん、乾杯の用意は出来ていますか?

カンパ~~イ

ありがとうございました。」

編集後記

今回お伝えしたこのイベントは兵庫県が後援し

シュトレンというパン業界の至宝を応援してくれていること

シュトレンのガイドラインが決まっていること

このふたつに大きな意義を感じました。

行政が応援してくれることは主催者側にも大きな力となってきますし、世論への響き方も変わってくるはずです。

次にガイドラインですが、海外から伝わってきたパンや菓子がどれだけアレンジされてきたかを考えると。。。。

兵庫に出掛ける機会のある方は関連ウエブを記しておきますのでご利用ください。

https://www.hyogostollen.com

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