サンドイッチ日和
ルーベンサンドイッチ
ナガタユイ
今回は、ナガタさんに「ルーベンサンドイッチ」のお話を中心に伺っていま す。ザワークラウトのような酸味のある素材の使い方から、温かい具材と冷 えた具材のバランスまで、ボリュームのある「ルーベンサンドイッチ」なら ではのボリューム感溢れるお話を聞くことが出来ました。
ルーベンサンドイッチ解説
ルーベンサンドイッチのことを私が初めて知ったのは、20年以上前のことで す。とあるパン屋さんから、このサンドイッチに使うチーズのことを聞かれ て答えられず、調べたのがきっかけでした。
ルーベンサンドイッチとは、アメリカを代表するホットサンドイッチです。 ニューヨークのReunben’s Rastrantで生まれたと言われています。 1930年から40年代にかけて、このレストランでは当時の有名人にちなんだ 様々なサンドイッチが生み出されたといいます。 その中で最も注目されたのが“The Reuben Special”というもので、ターキー、 バージニアハム、スイスチーズ、コールスロー、そしてロシアンドレッシン グが使われていました。 後に、ターキーとハムがパストラミビーフに、コールスローがザワークラ ウトに置き換えて作られるようになり、現在では、ライ麦パンにコーンドビ ーフもしくはパストラミビーフ、スイスチーズ、ザワークラウトを組み合わ せたものが“Reuben Sandwich”と言われるようになり、世界中に広まりまし た。
このサンドイッチが、ニューヨークらしいなーと思うところは、その食材の ルーツの多様性です。 ユダヤ系デリの牛肉加工品、ドイツのザワークラウト、そしてチーズは“スイ ス”、ドレッシングは“ロシアン”です。人種のサラダボウルと言われるニュー ヨークらしさが溢れています。
スイスチーズ、というのは聞き慣れない名前かもしれません。 これは、スイスのチーズではなく、スイスに由来するアメリカで作られるチ ーズです。 懐かしのアニメ、「トムとジェリー」に出てくるチーズを思い浮かべていた だくとよいでしょう。そう、あの穴の開いたチーズです。 私が子供の頃、あのチーズに憧れていたのですが、地方都市の一般家庭では、あの穴あきチーズを実際に目にすることはありませんでした。 チーズに詳しい方はご存じかと思いますが、穴あきチーズの代表的なものと いえば、スイスのエメンタールです!
このエメンタールと同様の製法で作られる硬質チーズを、北米ではスイスチ ーズと呼んでいるんです。 日本にも輸入されており、輸入食材が豊富な都内の高級スーパーでは、定番 で売られています。(が、他のお店では見たことがありません……)
アメリカのスーパーではもちろん、スイスチーズは当たり前に売られていま す。本家のエメンタールは、ちゃんと本来の名前で売られており、スイスチ ーズよりは高級品です。
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