パン屋さん

パン屋噺 4 第7回モンディアル・デュ・パン 優勝 コム・ン 大澤秀一 飾りパン 

パン屋噺 4

第7回モンディアル・デュ・パン優勝

大澤秀一(コム・ン )

飾りパン

 

今回は前回に引き続き第7回モンディアル・デュ・パンで優勝された大澤 秀一さんに飾りパンの話を聞きました。
同大会で日本人として初めて優勝を遂げた大澤さんですが、その中でもこ れまでの世に出た飾りパンの流れを変えるような作品を披露してくれま した。今回は大澤さんにじっくり飾りパンに関してお話を聞きましたので読んでみてください。

今回の飾りパンのテーマは何だったんですか?

大澤

世界のスポーツっていうのがテーマだったので。で、自分は流鏑馬ですね。

生地は何種類ですか?

大澤
細かく言うと4種類ですかね。

発酵生地は入っています?

大澤

発酵生地も入っています。日本で作っていったところが…この辺が全部日本で作りました。

ボディはどういう配合で作ったんですか?

大澤
これはなるべく重く…

足も?

大澤

そうです。これも同じ生地です。で、ここはこの生地を一回焼いたのを
もう一回そこに入れて。最初円盤みたいなのを焼いて、それをそこに入れ てもう一回焼いたんですけど。だからここだけ色が濃くて。これはもうな るべく重くて、固くなるのはもうみんな固くなるような生地を作るんです けど。これは軽さとかを求めないで本当に重く

ボディはですね

大澤
そうですね。これが軽いとやっぱり安定しないのでとにかく重く


粉は?

大澤
粉は基本的にライ麦ですね

ライ麦で繋がります?

大澤

いや、繋がらないです。繋がらないのでアドラガントゴムも配合します。

前に来日したフランス人の職人さんが使ってましたね

大澤

そうです。あの人のをベースにして。

じゃあ、それこそほぼ水と粉?

大澤
…と、砂糖。砂糖と卵白も入ってます。 ライ麦だけだと繋がり難いですものね
大澤 グルテン出しちゃうと焼いた時に膨らんじゃうので。マークさんが来た時 は薄力でやってたんですけど、でも薄力でも多少グルテンは出てくるので 膨らんじゃうので。自分はこのボディはライ麦。ライ麦もなるべく細かい のがいいので、日清製粉のメールダンケルを使いました。

やっぱり頑丈?

大澤

頑丈ですね。もう本当に石膏みたいな…石みたいにガチガチ。


他のパーツを足してるわけですよね?

大澤

パーツは足しています。全部バラバラに作って。

なるほど

大澤

パーツ、パーツで作って、後で組み立てられるようにして。

例えば上にくるのを多少軽くするとかそういうことは?

大澤

やってます。上にくるパーツは一回ここを抜いて、中を全部くりぬいて。 基本的に全部空洞ですね。

トータルで重くするってことですか?

大澤

重いですね。ボディを三本で支えなきゃいけないんで固くなきゃ…とにか く重く、軽くなんですけど脆くできなかったのでガチガチに焼いて中をく りぬくような感じにしました。人間のこういう中も全部スプーンでくり抜 くんですけど、スプーンが入る限りではくり抜いてあります。

すげー

大澤

1個目は折れたんで穴開けたら。

 

焼く時間は?どれくらいですか?

 

大澤

3日ぐらい焼いてました。愛工舎さんのラックオーブンで。大きいので普 通の平釜じゃ入らないので、愛工舎さんに頼んでラックオーブンに入れさ せてもらって。あんまり強い温度だと焦げるところだけどんどん焦げてい
っちゃうので160…150で焼きました

持ち込み可能というルールをうまく使いましたね

大澤
そうですね、これは。150で愛工舎さんの厨房で、ずっとつきっきりで。結局全パーツ持ち込みなので、そういうのを作って。 次回のベストの時はまた違うやりかたでやらないといけないんですけど。 今回はもうなるべく細かくやっていかないと、みんながそれをやる時間が あるので。

それでも大澤さんの飾りパンは抜きに出てますね

大澤
ここまで日本で作ってフランスに持っていって、ここから…

途中、運搬で壊れませんでしたか?

大澤

段ボールに入れて、番重とかでいろいろくるんで。韓国経由で行ったんで、韓国語で「この面を上にかなり慎重に」みたいなのを書いて、フラン ス語でも同じこと書いて持って行って。普通の荷物と違う手で運ぶ方で持 って行ってもらって。フランス人がこうやって手でカートで持ってきたや つが、この面を上にっていうのが反対で 笑

わかります!さすがフランス人!

大澤

もう一個のは段ボールの下が四隅はじけてて絶対上になんか乗せたろ、
って感じで。でもなんとか大丈夫で。あちらで作るって選択肢は無かったのですか?
大澤 でもこの状態で持って行って。これ以上パーツ分けられなくて。ここはやっぱり愛工舎さんのラックオーブンが無いと無理だったんで。ここまで は作っていって、これがだめだったらもうだめだなって言いながら。

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