DONQ創設者 藤井幸男生誕100周年記念「フランスパンコンクール 藤井幸男記念杯 〜藤井幸男とカルヴェル教授との出会い〜」審査員関係者総評

DONQ創設者 藤井幸男生誕100周年記念「フランスパンコンクール 藤井幸男記念杯 〜藤井幸男とカルヴェル教授との出会い〜」審査員関係者総評

一般財団法人藤井幸男記念・教育振興会主催

DONQ創設者 藤井幸男生誕100周年記念

「フランスパンコンクール 藤井幸男記念杯〜藤井幸男とカルヴェル教授との出会い〜」

2021年4月4日(日曜)※前日3日前日準備有り、日本パン技術研究所にて、一般財団法人藤井幸男記念・教育振興会主催によるDONQ創設者、藤井幸男生誕100周年を記念し「フランスパンコンクール 藤井幸男記念杯〜藤井幸男とカルヴェル教授との出会い〜」と題したコンクールが開催されました。

 

審査対象はバゲットとパン・オ・ルヴァン(事前持ち込み品含む)となり、一次審査を通過した9名がこの日実技審査に臨みました。審査項目は「外観、クラストの香り、クラムの香り、食感、風味、特別加算」となっています。

 

今回はコンクールのレポートになりますが、参加した9名のパン職人、審査員、関係者の皆さんの言葉とレシピを見れば、このコンクールの意図が分かると思いますので、ボリュームがありますが最後まで読んでみてください。

 

 

賞品

大賞(1名) 賞金200万円&仁瓶利夫氏と行くフランス9日間研修ツアー

準大賞(1名) 仁瓶利夫氏と行くフランス9日間研修ツアー

特別賞(3名) リスドオル10袋(25kg)

佳作(4名) 仁瓶利夫氏著書「ドンク仁瓶利夫と考える Bon Painへの道」サイン入り

 

実技審査規定

バゲット(製品重量200g 製品全長40cm )(リスドオル【日清製粉】を70%~100%使用のこと)生地改良剤、イーストフード、ビタミンC(ビタミンC添加のイーストも含む)は使用不可。

パン・オ・ルヴァン(製品重量700g 形状・粉類自由。生地改良剤、ビタミンCは使用不可。イーストは本捏時に生イーススト0.2%以下まで。セミドライイースト、インスタントドライイースト(青)はその1/3の量まで使用可)。

ルヴァン元種は小麦粉、ライ麦粉、小麦全粒粉、ライ麦全粒粉のいずれかを使用して種を起こしたものに限る。レーズン種やフルーツから起こした種は使用不可。

 

 

日清製粉株式会社 営業企画部 施 雅雯(シ ガブン)さんの司会で表彰式は進行されました。

 

 

一般財団法人 藤井幸男記念・教育振興会代表理事 

仁瓶利夫(Archives du pain français en hommage au professeur R.Calvel )

このコンクールはビタミンCを入れないパン作りと自身で起こしたルヴァン種でパン・オ・ルヴァンを焼くという、これまでにないシビアなレギュレーションを盛り込みました。実は蓋を開けるまで、どれだけ反応があるのか心配でした。

ところが全国から47名の方の応募があり嬉しい誤算となりました。途中、コロナ禍で職場が閉鎖されキャンセルした方も何名かおられました。2月18日に現物による一次審査を行い、そこで9名に絞り込んで今日の本選を迎えることが出来ました。

ここで藤井幸男生誕100周年記念事業にフランスパンコンクールを開催した目的について、少しご説明させていただきます。藤井幸男の最大の功績はもちろん、ドンクという会社を日本全国ここまで大きくしてきたということに尽きるわけですが、私はパン職人としての視点から捉えた時に、また別の功績を挙げたいと思います。それはカルヴェル先生が初来日した1954年から長きに亘り、タッグを組み本格的なフランスパンを日本に普及させる為、力を尽くしたことです。先生は日本ではフランスパンの神様と呼ばれていますが、幸運だったのはパン屋のオーナーシェフではなく、幸いにもENSMIC(アンスミック)という国立製粉学校の教授であったっていうことです。だからこそ、そのアカデミックな視点から正統なフランスパンが伝授されたのです。その事は私たち日本人にとって幸運な事だったのです。

ただ、残念なことに現在カルヴェル先生の教えが日本のパン業界に浸透しているのか、と言えば答えはノーです。若い人でカルヴェル先生の名前は知っていても、どういう人?と言う人がほとんどじゃないかと思います。アメリカで有名なあるパン屋が、時間で繋ぐパン作りをメディアがもてはやし取り上げたりしていますが、そんなことはカルヴェル先生は60年も前に自著の中で伝えてくれています。カルヴェル先生の著書は、私も今でも何十回も読み返していますけども、読み返せば読み返すほど新しい発見がそこには書かれています。パンはもっともっと…パンの発酵文化は何千年もの歴史があるわけで、現代で誰かが新発見のように唱えたところでそのパンの発酵の仕組みは大きな部分では誰かの専売特許でも何でも無いのです。

そのカルヴェル先生を過去何十回も日本に招聘して、普通なら自社で招聘した場合には自社にだけその技術を抱え込むはずですけども藤井幸男はそれを独り占めしませんでした。自社でセミナーを先に披露させ、その後同じ内容を日本フランスパン友の会で実践してもらい、カルヴェル先生のノウハウを共有してきました。だからこそ、今の日本のフランスパンの基盤が長い年月がかかりましたけども培われてきました。広く日本のパン業界共有の財産になったのです。

今回のコンクールは、藤井幸男記念杯フランスパンコンクールと名付けるからには、新製品狙いではなくてカルヴェル先生がいつもおっしゃっていた「Bon Pain」を審査の基準にしたいと考えました。これまでの新製品狙いのコンクールでは何か原材料をてんこ盛りにしたほうが勝ちと言う世界が成り立っていました。しかし、このコンクールは伝統的なパンの技術を競うものとしました。そのおかげで、バゲットとパン・オ・ルヴァンの審査については審査員は相当苦しみました。みなさん優劣つけがたい。本当に点にしても点の差が付きにくいほどの優れた技術がここに並びました。みなさんも実際にお食べになって、それぞれが「あ、俺のがきっとチャンピオンだな」と言う風に思ったのではないかと思います。それくらい僅差ではあります。

過去にバゲットコンクールだけでしたら札幌で開催されたことがありましたけども、その時に優勝したのは今日の審査員である二宮さんでした。でも、今日のコンクールはバゲットとパン・オ・ルヴァン、この2種類の技術コンクールです。これは日本のパン業界では初めてのことです。バゲットはイーストのパンです。今はルヴァンリキッドを入れるのが流行ってますけども、本来は歴史をたどればバゲットはイーストのパンです。イーストのパンとイーストを入れないパン・オ・ルヴァン。この両方をマスターすれば、その間に広がるパンのバリエーションは無限大にあるはずです。それをみなさんこのコンクールで掴んでいただけたのではないかと思います。

発酵ということで言えば、今はメディアで有名なあるパン屋がイーストの発酵の風味はミキシング終了時点がマックスで、あとは発酵させればさせるほど美味しくなくなるというトランプばりのフェイクをテレビでも言ってましたけども。このコンクールはパンは発酵させた方が美味しくなるという、それを立証するようなコンクールです。

フランスではデクレ…パン・デクレと言いますけども、パンの政令というものがフランスの国内だけではありますけども、EUの規律とは別にフランスでは厳しい基準を設けています。例えばドイツでは、ライ麦パンを作る時に本捏ねのイーストの量は青天井ですけども、フランスではパン・オ・ルヴァンと呼ぶからには生イーストが0.2%以上使ってはならないと定めています。その他詳しい決まりはたくさんありますが、ヨーロッパの中でも1番パンに対して厳しい基準を持っているのがフランスです。このことが日本のパン業界ではほとんど理解されていません。先日もテレビで「やさしいバゲット」と言うパンが紹介されていました。これは有名なパン屋が出したようですけども、バゲットとは名ばかりの真っ白けで片手で端っこを持つとグニャンと折れ曲がるという。原材料表示を見ると生クリーム、砂糖、オリオーブオイルと書かれていました。こういう副材料てんこもりのバゲットはフランスでは全く許可されない代物です。でも、日本ではやわらかい方が勝ち、味がついている方が勝ちです。こういうものに平気でバゲット…それも、ラベルにはパントラディショネルフランセと丁寧に書かれています。伝統的なパンと表示するなら余計な副材料を入れると法律違反になります。フランスの名前を付ける以上フランスの食文化、背景を理解した上で付けるべきではないかというふうに私は思っております。ソフトで甘いパンが売れる現状は現実としてありますけども、一度みなさまはこういうコンクールを機会にフランスにデクレというものがあるのだというのは認識していただければと幸いです。

乳化剤…今回はビタミンCすら排除したわけですから、乳化剤や酸化剤に頼らない、自分自身の技術力。技術力というのは、ひとえに生地を見る力です。それが自分の腕でうまいパンを焼く基本です。コンクールの発表直後にコロナの状況がエスカレートしてきまして、コンクールの開催自体も危ぶまれたりしました。コンクールのレギュレーションを理解していただくために事前講習会を企画したものの、それも延期を余儀なくされたりしていました。講習会に参加するのが難しい方のためにと、動画におさめて解説編を作ったりしたのですが、告知不足もありました。是非皆さんでこういう教材があるということを広めていただければ幸いです。

このように紆余曲折がありましたけども、本日のコンクール本選を迎えることができました。これは、ここにおられるみなさま、関係者のみなさまのおかげだと思います。深く感謝申し上げます。コロナ禍の中、一部の方にはおいでいただきましたけども無観客に近い表彰式となりましたが本日の栄誉がみなさんのこれからのパン職人人生の輝かしい実績となることを願って挨拶と代えさせていただきます。ありがとうございました。

 

審査員 総評

審査委員長 山﨑隆二 カネカ食品株式会社 

こんにちは、山﨑です。選手の皆さん、今日一日ありがとうございました。もの凄く良い作品が出揃いました。先ほど仁瓶さんからもお話があったように、コンクールの趣旨と言うところを自分の中に落とし込んできた方がここに残った9名だと思っています。そのあたり一次審査では惜しい方もいらっしゃいました。9名の中で1、2、3位と9番まで順位をつけろと言うのが、コンクールなので得点をつけなければならなかったのですが、本当に迷いに迷いました。あとで皆さん食べて貰えば納得していただける結果にはなっているはずです。今回のクープ・デュ・モンドが0.1ポイント差で中国だったというぐらいそれに匹敵するような審査結果でした。

そして今日は審査員という立場で参加だったのですが、もっともっと美味しいパンを僕らも作らないということを気付かせてもらいました。フランスパンはこんなに美味しいのだと、常々普及活動をされている仁瓶さんがいらっしゃいます。僕もドンクさんに勤めたことも無いのですが、社内じゃない僕らが美味しいパンを作りしたいと情熱さえあれば、本当に様々なことを教えてくれますし、色々なことを見せてくれます。そういった環境の中にいる僕らはすごく幸せだと思います。今日、ここに出た方だけじゃなく、美味しいパン、良いパンを作っていこうという姿勢が日本のパン業界をもっともっと大きくしていくと思っていますので、これからも皆さんで力を合わせてパンの普及というところに励んでいきたいなとつくづく感じました。本当に今日は、9名のみなさん、審査員の方、ありがとうございました。

二宮茂彰 帝国ホテル

帝国ホテルの二宮です。本日はお疲れ様でした。私は審査員をさせていただいたんですけど、みなさん本当にこのコンクールの趣旨を理解していたっていうのが食べて、見て感じ取れました。自分ももっと勉強しなきゃいけないなと改めて思いました。それと、本当に0.何ポイント差とみなさん言っていますけど、これは本当に嘘じゃなくて本当の話です。0.1、0.2ポイントの差だったので1、2、3位と順位をつける話ではないのかなと感じています。ですが、コンクールなので順位はつけました。感動の涙が流れるほどのパンを作ってくれたので、全部食べていただければ素晴らしく美味しいことが分かると思います。

それと自分がクープ・デュ・モンドなど色々チャレンジできたのも、仁瓶さんのお陰だと思っています。自分も社外の人間ですけれど、仁瓶さんが作ったパンを食べさせていただいたり、指導していただく機会がありましてパンの基本軸というか、自分の舌や体で覚えられたのは財産になっています。本日はありがとうございました。

中道博 レストラン・モリエール オーナーシェフ

まずは、ご苦労様でした。僕は札幌でフランス料理を38年ぐらいやっています。何年前かわかりませんけど、仁瓶さんとの出会いがありました。仁瓶さんの著書である『Bon Painへの道』を読みますと、そこには良いパンとは美味しいパンだよと書いてあるのですよ。例えばパンの上にバターとチーズがあればもう十分だとも、その裏返しに、パンの美味しさがなければバターもチーズも活きないと言うことです。

うちの店のパンはドンクのパンを使っています。発酵時間も前後15分ずつ長くしてもらいまして、八分焼きでいただいています。なぜ、ちゃんと焼いていないかと言いますと、お店で焼き直しと言うより焼き上げるという考え方をとっていまして、店で仕上げて、窯から出たものをすぐ食べてもらおうというのがうちのモットーです。おかげさまでお客様がパンを大事に食べてくれます。それは相乗効果があるということではないでしょうか。パンが美味しくて、それだけ食べていたらもう何もいらないよというパンをパン屋さんは目指しますけれど、レストランの中ではやっぱり料理と一緒になって食べると、相乗効果で例えばバターをつけて食べるとこのバター美味しいねっていう言葉が出ます。出るんですけど、裏返すとそのパンがおいしくないとそのバターは油っぽいねっていう言葉になるんじゃないかなと思います。

今日はいろいろ勉強してきましたけど、結局、バーッと半分に切って、バーッと並ぶと「あ、ちょっと白いよりもこっちの黄色目の色のついた方がおいしいパンだよ」とか言われて勉強になりました。結局バーッと並べてみると、僕らにはあんまりその差はわかりませんでした。ということはですね、今日ここに来られている方はそもそも論で原理原則を理解しているので、原理原則を理解しているとそういうパンができるということじゃないかと思います。でも、世の中的にはいろんなところでパンを食べますと、そうじゃないパンもたくさんあります。でも、それはそれで別段いいとか悪いとかはないのでそれはそれでいいんですけど。一番大事なことは、原理原則をちゃんとその場でやれるようになることが一番大事なので。その時に、今日結果が出て順位みたいなのはありますけど、僕は順位以上にそれこそ差はなかったと感じました。

僕はそういうふうなレベルでこのコンクールがやれたっていうことがすごく素晴らしいなと思います。何か特別なことをやってより美味しくしようぜというより、原理原則をきちんとやろうとされたことが、今回やった一番の価値があるのではないかと思っています。勝った方はお父さんの跡を継いで、非常に喜んでいて、高品質なパンを目指しているのは羨ましいなと僕は思いました。そういう意味では、参加してくださいまして本当にありがとうございました。僕も体験させてもらってありがとうございました。

ピエール・プリジャン 元アミカル代表

みなさんこんにちは。ピエール・プリジャンと申します。今日はこれだけのレベルのパンが並び良かったと思います。日本でこんな素晴らしいパンが食べられるのは幸せです。

私は日本へは一年だけという話で来日したのですが、もう53年が経ちました。こんなに長い間居るとは考えてもいませんでした。藤井幸男さんは私の父と同じ1921年生まれで日本のパパだと思っています。社長に会えて良かったなと、今日の作品を見て思いました。こんな素晴らしいパンが作られるようになったのもカルヴェル先生とドンクの藤井社長のおかげです。私が日本へ来日したのは22歳の時でまだ若く色々な勉強をさせてもらいました。大阪万博、その時はドンクも出展して(協賛出展)工場を作って、もう朝から晩までパンをたくさん焼きました。たぶんその時はドンクさん儲かったはずです。万博が終ってから社長が東京の工場は小さくて、やっぱり大きいのを作らなければいけないから「ピエールさん、今度は大きな窯を入れて工場を作りましょう」。その工場は1日で2000 kgの粉を仕込んでました。次は神戸岡本で工場作りましょうと次から次へと工場を作っていきました。その頃、私は結婚しました。結婚を機に何かやらなければいけないと思ってビストロを始めて35年やりました。

しばらくパンから離れているとパンのワールドカップに日本へ参加要請があり、仁瓶さんたちと協力して日本チームを作り育てることになりました。その甲斐あって、2002年に山﨑さんのチームが優勝することが出来ました。私の中では日本チームが優勝するまで手伝おうと思っていたので、その後は日本人同士で頑張ってやってくださいと離れました。その10年後、日本チームは優勝しましたし、日本のパンのレベルがすごく伸びたと思います。他の国でも、やっぱり日本はお米がおいしいだけじゃなくてやっぱりパンも美味しいって言われています。本当に今日はこんな素晴らしいパンを選ぶのは大変でした。みんなとっても良かったです。本当に今日はありがとうございます。

渡邉政子 愛パン家 元パンの会主宰者

こんにちは。今日はありがとうございました。ごちそうさまでした。とっても美味しかったです。美味しいパンを食べられるのを楽しみに長野から上京しましたとて言っても過言ではないくらい、今日を楽しみにしていました。

パンの会を解散したのは2005年なのですが、それからもうずいぶん経ったのですが、世の中はなんかすっかりパンブームのままずっときていて。仁瓶さんも言っていたのですけれども、美味しいパンっていうのは、どんなパンかっていうので、味の濃いグってくるパンはもちろん美味しいのは分かるんですけれども。私は日本人ですが、世の中から米がなくなってもいいぐらいお米はもう食べないし。今年は2回ぐらい口にはしましたけど、パンばっかり食べているので、食べ飽きないパン…毎日毎日食べて飽きないパンというのが私にとっては美味しいパン、良いパンだと思っています。

ルヴァンの方は、好み…やっぱりバゲットより差がでるもので私は酸味のある方がちょっと苦手なので…パンとして…っていうのは、さっきのシェフのお話じゃないですけど食べ合わせでパンが美味しくなったりというのを感じました。私が作っているものが和食が多いので、どうも和食だと酸味があるものがちょっと合わなかったりするので、酸味控えめ…割と軽めなのが好きだと自分で改めて思ったりしました。

今日の選手のみなさん、選手というかここにいらっしゃる方々に、もっと今日みたいなパンを世の中に広めていってもらえたらなと思います。テレビに出てピョンって出てなくなっちゃうようなものではなく、ずっと長い間選んでみんなが美味しいなと食べ続けていけるようなパンを作っていただきたい。今日はありがとうございました。

秋山洋子 イラストレーター

こんにちは、秋山と申します。今日は本当にみなさんお疲れさまでした。私は渡辺さんとずっとやってきたのですけれども。もうかれこれ何十年とは言わないですけれども、割と長い間パンを食べ続け、そしてそのパンを描き続けていくという、ちょっと変わった者なのですけれども。いつもは本当にパンを置いて、それを本当にじっくり、たぶんこんなに見ているのは私ぐらいだろうなっていうぐらいパンのクープ割れ方ですとか、中の表面の艶ですとか、粉の振り方とか、なんか結構艶とかを見ながらそれをイラストに描いたりしています。

今日もバゲットをいっぱい並べて中の気泡とかを見させていただきまして。バゲットはやっぱりクープの割れ方とか、やっぱり粉の振り方とかもみなさん違って。すごく似ているんだけど、逆によく見ると違うなっていうところがありました。ルヴァンに関しては、それぞれの本当に面白くて、模様のふりかたもあったり、やっぱりみなさんそれぞれ考えている、思いとか、違うんだなっていうのをちょっと感じました。

味に関しましても、本当に美味しくて、ひと口食べて「あ、美味しい」と思って。サクッとしているし、色合いも良くてくちどけも良くて、どうやって手を付けていいのかわからないくらいでして。本当にポイントで刻んででもつけないといけなかったのでつけたっていう感じでどれも美味しかったです。

美木陽子 一般財団法人 藤井幸男記念・教育振興会 設立者

みなさんこんにちは。今日は本当に長い時間お疲れさまでした。この会を開くのに、コロナがおそらくこんなのが起こるとは思わない時期から父の生誕100年の記念事業として何をしようかって財団で考えた時に、仁瓶さんから発案してもらいました。それから本当に突然コロナっていう、先は全然読めなくなってしまった中で準備をしていた事前講習会も延び延びになるし、もう本当に今回…今日が開けたのは本当に夢のようです。

参加くださる方も全国から本当にたくさんの方が応募してくださいまして、どれぐらいの方が応募してくださるんだろうとか、とても心配したんですが、今日のように素晴らしいパンが並びまして、皆さんの日々の努力とかが見えたかと思います。

パンというのは日常的なもので、美味しいパンを食べる幸せ、これは価格もですが、どなたでも買おうと思えばパンは買えるものでそれで持って帰って、多かったら冷凍もできますし身近にあるものだと思うのです。美味しいパンで朝が始まるっていう幸せ、本当にそういう仕事に携わっていらっしゃる皆さまは本当に功徳を積んでおられるというか、みんなに幸せを届けていらっしゃる仕事だなと思います。

どうぞ、今学ばれた技術とか色々なパンに対する思いをまだ…次の学びたいと思っている人たちにぜひ伝えていただきたいと思います。今日は本当にもう会場を貸してくださった日本パン技術研究所の皆さま、日清製粉さま、たくさんの方のおかげで会が開けたと、本当に感謝しております。ありがとうございました。