パンの資料

製パン新製品開発室 5 ルビーチョコレートを使ったパン 成瀬正 トラン・ブルー

製パン新製品開発室 5

ルビーチョコレートを使ったパン

製作 成瀬正

トラン・ブルー(岐阜県 高山市)

http://www.trainbleu.com/

協力 株式会社前田商店

http://www.j-maeda.co.jp/

バリーカレボー社が13年の歳月をかけて誕生させた第4のチョコレート「ルビーチョコレート」。2018年に一般発売されると同時に注目素材として製菓業界では話題をさらいました。

製パン業界でも情報通を騒つかせ「ルビーチョコレート」。今回は新たなチョコレートのカテゴリーをパンに活かした紹介となります。

製作は岐阜県高山市「トラン・ブルー」の成瀬正氏にお願いしました。改めて紹介することもないと思いますが、2005年に開催されたパンの世界大会にヴィエノワズリー部門日本代表選手として出場、2012年には同大会の日本代表監督を務め日本チームを優勝に導きました。自店からは、多くの卒業生を輩出し地方にキラリと輝く名店として全国にその名を轟かせています。

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春めいてきた取材当日、高速バスでトラン ・ブルーに向かいました。中央道を走るバスは松本で高速を降ります。市内を抜け、山々を登り下りするルートです。途中いくつか長いトンネルが続き、平湯温泉辺りに差し掛かると「トンネルを抜けると〜」小説の冒頭のような雪景色が広がり、5時間を超える乗車も終わりを告げようとしています。

最後の山を下り、バスは高山市内に入り高山駅前の停留所に到着。

 

ここからは、少し距離はありますが、市内を散策がてら歩いてトラン ・ブルーに向かいます。

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トラン ・ブルーに到着すると厨房のスタッフに挨拶し、事務所へ。

「早かったね」と事務作業をされている成瀬さんと対面。しばらく談笑し撮影場所の厨房に移動します。

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冷蔵庫から原材料を取り出しながら「今回の宿題は難しかったよ」と、スタッフにお店の作業の確認しながら「今日は、ブリオッシュ生地にルビーチョコレートを混ぜていきます」。

めん台にはピンク色のルビーチョコレートが流し込まれパン屋さんの厨房では見掛けないテンパリング作業が始まりました。

テンパリングは、通常マーブル台を用いて安定した温度帯(20℃)で行うことが求められます。

最初にチョコレートを5040℃まで上げ全ての結晶を溶かしていきます。次に27℃まで下げ、不安定な結晶を生成させます。最後にもう一度温度30℃まで上げる過程で不安定な結晶が融解させると安定結晶核が生成されます。この後冷やして固めることでチョコレート内のココアバターが安定した結晶となって「艶があり」「口溶けが良い」などチョコレートの見た目、味などに影響するとされています。

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テンパリングを終えると、ブリオッシュ生地の仕込みです。小麦粉と発酵バターでサブラージュから始まります。液体原料に固体の材料を溶かし合わせ、サブラージュが終わった生地に混ぜて捏ね上げていきます。

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繋がり方が独特なこの生地は仕込み上がった後に発酵させ一度パンチを行います。

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分割後、細長い型に詰められ、タブレット状のルビーチョコレートを散らしホイロで発酵させます。

最終発酵が終わり、ホイロから出して型に蓋をしオーブンへ。

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IMG_8630.jpeg焼き上がったら熱いうちに生姜汁と柚子の絞り汁で作ったカクテルのようなグラスを塗っていきます。

ほどよく冷めたら、テンパリングした細長く長方形にカットしたルビーチョコレートをトッピングし、その上に1/3 2/3に粉糖を降りダイスのルビーチョコレートを3つ乗せ仕上げ完成となります。

口溶けの良いブリオッシュに、タブレット状のルビーチョコレートの粒の食感と少し溶けたフルーティーな風味が楽しめ、ほかに、生地の中に脇役ながら存在感を示す柚子ピールも練り込まれており、柚子の酸味とルビーチョコレートの酸味の饗宴が口の中に広がります。

成瀬さんが仰っていた「今回の宿題は難しかった」のひとつにテンパリングがあるかと思われます。チョコレート内に含まる油脂を均一で安定した形に結晶化することで艶やかで滑らかな口溶けの良い状態にするのがテンパリングです。

この作業は、20℃の室温で行われることが理想とされていますが、パン生地の発酵を保つために比較的暖かい環境のベーカリーの厨房でこの作業は難しかったようです。

口溶けの良いブリオッシュ生地に、柚子、生姜といった香り高い素材を加えることで、ルビーチョコレートのフルーティーな酸味と融合しパンの可能性を感じさせる製品に仕上がりました。

Gateau brioche

Ruby chocolate et Yuzu et gingembre

(ルビーショコラ&柚子&生姜)

(配合)                    (%)

小麦粉(リスドオル)  100

発酵バター        35

サフ セミドライイースト 1.6

       (ゴールド)

牛乳           10 

塩            1.8

生クリーム        30

グラニュー糖       25

蜂蜜                      8

全卵           30

ユズピール                              35

グラス

 粉糖          100

   生姜汁                                       20

 柚子搾り汁                                 6 

(工程)

小麦粉と発酵バターをミキサーボール内でサブラージュする。

その間にセミドライイーストを牛乳で溶かしておく。

塩を生クリームで溶かしておく。

グラニュー糖、蜂蜜、全卵を合わせ、ホイッパーで軽く泡立てておく。

サブラージュが終了したら、それぞれの液体類を順に入れミキシングを始める。(ビーター使用)

ミキシング L2M2

      H6~7

捏上温度  24℃

発酵時間       50P15

     (27℃ 80%)

成形  20×4×高さ4㎝の型に絞り入れる。

      型生地比容積2.4になるよう。

生地に対して10%のルビーショコラを入れ生地に押し込みホイロをとる。

ホイロ   60

                       27℃ 75%)

焼成    上火190℃

      下火190℃ 

                        20

仕上げ   焼き上がったら熱いうちにグラスを塗る。冷めたら、ルビーショコラの板を置き、粉糖で仕上げる。

 

今回の企画にご協力頂いた株式会社前田商店様よりコメントがありました。ルビーチョコレートに興味のある方はお問い合わせください。

4のチョコレートとして話題のルビーチョコレートですが、可愛らしい見た目はもちろん、フルーティーで爽やかな酸味が魅力的なチョコレートです。

ベリー系やスパイス等の様々な食材によく合うので、多岐にわたってご使用頂けます。

こちらの商品に関しては、株式会社前田商店までお問い合わせください。

品名:カレボールビーチョコレートRB1

規格:1.5×10袋、10×2

賞味期限:製造日より1

Recipe N’ RB1:カカオ分 Min%32.5%

        乳固形分 Min%26.4%

                               脂肪分 35.9%

     認証:ハラル、コ―シャ等々

メールアドレス

info@j-maeda.co.jp    

担当者  中島真由

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