パンの資料

パンを楽しむ料理 パンとチーズのペアリング 2  鈴木優子

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春の出産の時期で数頭の出産にも立ち会うことができました。 放牧前はオーナーが敷地内をチェックし牛が足を切ったり危ない場所がないかの点検をし、 気温と天気予報を確認して放牧の日を決めていました。牛たちの興奮と興奮が伝わってき ました。

* Reblochon(ルブロッション)

ここではルブロッションというチーズをメインで作っていました。クリーミーでコクの あるこのチーズはそのまま食べても美味しいし、焼くとさらに香りが強くなります。

ルティフレットというじゃがいものグラタンに使われるチーズです。このチーズは牛乳を殺菌せずに生のままの乳を使用するので牛の衛生管理をしっかりしなければならない し、製造にも気を使います。

AOC というフランスの規定で製造方法が定められている チーズで朝・晩2回搾乳後すぐの製造が義務つけられており、毎日2回製造を行ってい ました。

ルブロッション造りの流れ―

1) 搾乳したミルクがポンプアップされるタンクにルブロッション用の発酵乳(ヨー

グルト状)を入れる。

2) 搾乳終了後、取れたミルクの量を確認し、温度を調整する。(34°C)

3) 牛の胃袋から抽出された酵素(レンネット)を投入しかき混ぜて40分ほど放置す

る。

4) 凝固したミルクを専用の道具で細かく切り、米粒状の大きさにする。

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5) 水分と固形分に分け、水分(ホエイ)はバケツに保管し翌日牛が飲む。

6) 専用の型に固形分を入れ、均一の大きさにする。

7) すぐにひっくり返し、重しを乗せ30-50分放置

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8) 再びひっくり返し、9 時間以上放置

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9) 型からチーズを取り出し、塩水につける(1.5時間)

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10)熟成用に使うもみの木の板にチーズを並べ、乾燥させる

11)5日間、毎朝ひっくり返し表面を乾燥させる。

12)6日目、水で表面を洗い、表面に出てきた脂肪分を流す

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  13)7日目、食塩で表面を洗い、表面をガードする

14)熟成庫(10°C)に置かれ、週に 2 回ひっくり返す作業をしながら最低 5 週間熟成。

15)包装し、ダンボールに入れて出荷

仕込みから出荷まで 2 ヶ月間、愛情を込めて作られていました。一回の搾乳で取れるミル クは約300リットル。最終製品400g以上になるルブロッションを作るには4リット ルのミルクが必要で毎回 70 個以上のチーズを作っていました。作業自体は単純なものです が牛乳の温度や発酵状態により製品は良くも悪くもなるし、熟成庫の中でも常に状態を確 認しながら反転する作業などが行われます。良いチーズを作るには牛の健康状態を管理し、ストレスを与えずにキレイな環境で飼育することが大切だと教えてもらいました。

牛乳の 鮮度も重要で、搾乳が終わったと同時に仕込みに入るので、労働時間も長いのが現実です。 この私の農家研修を機に紹介してくれた熟成士 MOF のお店でもこの農家のルブロッショ ンを販売することになり、後日マルシェのお店に並んでいるのを見にいきました。

ルブロッションは日本で見かけることは少ないかもしれませんが、もしチーズ屋さんで見 かけたら是非購入して食べてみてください。 トロッとした食感とミルクのコクを楽しむことができます。バゲットと共に食べても良い ですし、少し焼いて溶かすのもおススメです。ポテトグラタンに使われるチーズなので、ジャガ イモとの相性が良くマッシュポテト練り込みのフォカッチャにも合います。 グラタンのピザチーズに少し混ぜるだけで香りが広がります。

 

*Tomme(トムドサヴォア)

サヴォア地方で作られているチーズですが、この農家ではトムの小さい TOMMETTE( メット)と呼ばれるものを作っていました。メインはルブロッション作りだったのでトメ ットはために作っていました。

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*写真はクミンシード入りなので粒粒がありますがプレーンなものも製造していました。

  熟成庫で熟成させている間にフワフワのカビが生えます。それを手でこすりつけ、上下反転しながら熟成を続けます。 放牧後は牛がタンポポなどの花を食べているので黄色のカビがはえることがあります。

トムを食べる時は表面のカビの部分を切り取って食べます。 穀物パンとの相性が良く、さっぱりとしながらもナッツのような香りとミルクのコクを感 じることのできるセミハード系のチーズです。 薄くスライスしてハムやトマトと一緒に穀物パンにサンドするのがおススメです。 カンパーニュとの相性も良いです。白ワインともよく合います。

農家にホームステイしていたので牛やチーズの作業以外にもさまざまな話を聞きました。 チーズ農家の後継者問題は深刻なようでした。大手工場が安価なものを作るので農家とし ては生き残りに必死だと言っていました。

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