パンnote 2021 3月更新
ベーカリーの巣ごもり需要を考える
長く続くコロナ禍において生活様式の変更が余儀なくされ、自宅滞在時間が増えています。ベーカリーも従来のような来店型から、新たな販売方法が求められてきています。
その中のひとつが宅配サービスです。
宅配もいくつかの考え方があると思います。まず、近隣のお客さんに自店のスタッフ又はUberなど業者に委託し届ける。遠方のお客さんには宅配便を利用して届けるなどが考えられます。
既に実行されているパン屋さんもあると聞きますが、サービスの際の主役は惣菜パン、菓子パン、食パンのようです。カレーパンのような〃トレンド″と呼ばれるようなパンのニーズが高いとかと言う話も聞きます。
国内のベーカリーの主役に長く居座る菓子パン、惣菜パン、そして近年注目を集めている柔らかい食パンが、宅配の際もトップランナーかもしれませんが、敢えて言わせてもらうと「パン・ド・カンパーニュ」のような日持ちするパンを販売しては如何でしょうか。
そもそも、カンパーニュは地方のパン屋さんが都心部に売りに来る、行商のような行為から命名されたわけです。そしてこういったパンは日持ちしますし、現代の巣篭もり事情にはピッタリなパンだと思われます。
パンのような日常使いの食べ物を無理にトレンドにして流行り物にするといつかしっぺ返しがきます。
パン屋さんを訪れるとハード系のパンは売れないと言う声をよく聞きます。しかしココは美味しい食事パンを焼いて、食事と共に食べてくださいとひと言添え、外食は出来ないけど自宅で新たな日常にひと味違う食事を楽しんでもらうきっかけにハード系のパンは打って付けのはずです。
こんな時こそ、職人の技術が問われる「パン・ド・カンパーニュ」「パン・オ・ルヴァン」など日が経つに連れて美味しくなるパンを食べてもらい、食いしん坊な日本人に本来のパンの美味しさを伝える良い機会なのではないでしょうか。