製パン基本のき 8
ベッカライ ブロートハイム
明石克彦
今回はパンの販売方法の話になります。ブロートハイムを訪ねたことのある方はご存じかと思いますが、創業時からお客さんと対話しながらパンを販売してこられました。対面販売に関する明石さんの考えをお聞きしました。
オープン当初から対面販売ですが、対面販売導入のきっかけからお聞きかせください
明石
僕が初めてドイツに行った時の話になります。83年ですかね、現地でセルフの店が一軒も無いことに気が付いたのですよ。ミュンヘンがまだ西ドイツだった頃です。
そうでしたか
明石
「なんだろう?一軒も無いな」と言う感覚でしたね。その時、ミュンヘンのイバ展にも寄りましたけど、店舗を取り扱うブースも全て対面販売形式の紹介でした。
はい
明石
出展者に理由を尋ねると「こちらでは衛生上の問題から法律でこの形が定められているのですよ」と言うことでした。言われてみて気が付きましたけどヨーロッパは対面販売の店ばかりだなと思いました。
そう言われるとヨーロッパのパン屋さんの映像など見ると対面販売が多いですね
明石
帰国して調べたらアメリカも全部そうでした。セルフOKなのはアジアだけでした。
アジアだけなのですね
明石
ヨーロッパの人たちは食べ物を裸でお客さんが取るなんて考え難いようですよ。
言われてみると確かに
明石
対面の方が品良く見えますし。ガラス越しに見ると製品の見栄えも良いです。これは綺麗なガラスと言う前提ですが。
確かにガラス越しですとそう見えますものね
明石
製品の劣化も少ないです。パンの老化を考えると棚の中に入れて販売するのがベストです。以前、セルフのパン屋で針がパンの中に入れられてた、なんて事もありましたし。
誰でも手に取れるのでイタズラされますよね
明石
当たり前のことですが、パンの管理は店側の責任でやらなくてはなりませんからね。
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