パン屋噺 5
第7回モンディアル・デュ・パン
コミ 優勝 久保田遥さん(コム・ン )
今回は、前回、前々回ご登場頂いた大澤秀一さん(コム・ン )のコミ(助手)を務め日本チームの優勝に貢献された久保田遥さん。
※秋に開催予定のベスト・オブ・モンディアルは新型コロナウィルスの影響で中止になりました。
コミは22歳以下の職人さんが対象となり、若い職人さんの活躍出来るポジションです。
日本人として初めて優勝を遂げた久保田さんの世界一の女子力を誇る久保田さんにお話を伺いました。
ご出身はどちらですか?
久保田
長野の安曇野市です。
パン屋さんを志したキッカケを教えてください
久保田
実はパティシエになりたかったのですよ。うちは自営でお母さんがラーメン屋をやっているので、小さい頃から飲食の仕事を…何か作ってお客さんに提供をする仕事をやりたいと思ってたんですけど。その中でもケーキを作るのがすごい好きで、高校の時に友達に「たべて、たべて」って食べて貰っていて、お菓子作りが大好きだったんですよ。それで高校を出たらお菓子の専門学校に入ろうと思っていました。それと自分の稼いだお金で暮らしたいと言う思いも強かったので、親に相談したら姉が金沢大学に居るので石川県の学校だったら良いよと言われまして、石川の専門学校に進みました。
まだ若いから心配だったのでしょう
久保田
卒業して小田原の鎧塚シェフの「一夜城」に就職しました。
菓子職人のスタートですね
久保田
主な仕事は販売でしたけど。その店のパン部門のシェフが大澤さんで。
大澤さんとの接点はそこでしたか
久保田
はい、そこで知り合って。大澤さんは自分の店を始めるので先に退職されて、私は販売をやってたんですけど、仕事に対して息詰まっていて、いろいろ考え始めちゃっていた時期でした。
よくあるパターン‥‥
久保田
結局、辞めてバイトをしている時期に大澤さんが「今何やってるの?」と連絡をもらって。モンデュアル・デュ・パンの動画を見せてくれて、その時に台湾が優勝したんですけど。そのアシスタント賞を獲った台湾のすごい可愛い女の子で、こんなでっかいクリスタルのトロフィーがすごい印象的で。そのトロフィーが欲しくて※(この話一部有料サイトで詳しくアップしてあります)
トロフィー!!笑 いきなりパン屋さんをやってみてどうでした?
久保田
最初はミキサーから生地をあげられなくて‥‥
パン生地は勝手が違いますからねそれはいつ頃の話になるのですか?
久保田
始めたのが2年前の…
2018年?
久保田
そうですね。…の、2月にはじめて。そこからもう…
日本代表選はいつぐらいでしたっけ?
久保田
2018年の10月ですね。
8ヵ月で?すごい!
久保田
8ヵ月ですね。もう全部大澤さんに生地のあげ方から何から全部教わって。
すごい厳しかった?
久保田
厳しかったですね。
大澤さんは「もう明日から来なくてもいい」ぐらいの気持ちで接したと言ってました
久保田
結構言われ…言ってくれてたんです。大澤さんも疲れてるのにもうずっと注意して…
タフですからね 笑
久保田
表には出さないんですけどね。結構、意識が飛ぶ直前までずっとパンのこと考えるらしいです。
途中で何度辞めようかと思ったって、言ってましたよ
久保田
そうですね。
トレーニング中で印象的なことってあります?
久保田
やっぱり私も何回も自分は何を目指して今やってるんだっけ?っていう考えになる時期とか…
お菓子屋さんになりたくて、親を説得してですもんね
久保田
その時にやっぱり支えになったのがお客さんがすっごい。
コム・ン に来てくれていた?
久保田
接客も大澤さんが全部教えてくれたんですけど。最初、私も全然うまくいかなくて、接客が。もうなんか機械みたいな接客だったんですけど。
機械みたいな?笑わないとか?
久保田
そうなんです、そんな感じでした。
笑ってるつもりはあるんでしょうね
久保田
笑えてなくって。その時に大澤さんに教えてもらった接客でどんどんお客さんとの距離が縮まっていって。で、もうぶっちゃけ毎日泣いてて、その頃は。もう苦しくて、苦しくて。でもそういう時にお客さんが「久保田ちゃん、がんばってね」みたいな。差し入れとかくれて。やっぱりそれで「パン美味しかったよ」とか言ってもらってから、パン作るのがスゴイ楽しくなって。
メンタル面が整って ですかね
久保田
そうですね。それはすごい印象にあります。
そう聞くと大会以外でもご苦労があったのですね
久保田
そうですね…結構、もうすごい濃い2年間だったので。逆になんていうんですか、短期間でぎゅっと教えてもらったので…っていうのもあると思います。
長い方が厳しいかもしれませんね
久保田
そうですね。逆に時間があると考えちゃうじゃないですか。やばい、今私… 何やってるんだろう、とか。そういう時間すらもうあまりなかったような感じだったので。もうずっともう毎日がむしゃらにもうできることだけをやってました。
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