製パン研究室
ブリオッシュを辿る
まとめ
全話5回に渡り、フランスのパンの中でも象徴的なブリオッシュを研修してきました。
アテットのようなスタンダードなパンから各地方独自のブリオッシュまでバリエーション豊かなブリオッシュを紹介してきました。
レポートとイラストはアルザスなどでパンの修業をされた奥田有香さん(L‘atelier de KANDEL Tokyo「ラトリエ ドゥ カンデル トウキョウ」)にお願いしました。
今回はこれまでの全5回のまとめとして、奥田さんにお話を伺いました。これまでの記事と合わせて読んで頂くとより伝わるとおもいます。
最初に連載の中でブリオッシュのイラストを毎回奥田さんに描いて頂きましたが、絵に関してはどのくらい勉強されたのでしょうか
奥田
「幼少の頃から絵を描くのが好きですが、勉強したことはなく趣味としてずっと描いております」。
すごい、、、さて、ブリオッシュはフランスの各地方に形を代えて存在するようですが、現地ではどのように食べられることが多いのでしょうか?
奥田
「私の修行先フランス・アルザス地方でブリオッシュは、菓子パンとして朝食やおやつに食べられていました。そのようなブリオッシュはバターと卵の多いリッチな配合の生地ではなく、日本の菓子パンのようなライトな配合の生地に、カスタードクリームやアーモンドクリーム等を合わせて作られます。お祭りの時期にもブリオッシュ生地を使った発酵菓子が作られています」。
やはり、地方により異なるのですね、次に作り手の立場からのブリオッシュ作りに関してお聞かせ頂けますか?
奥田
「師匠のジョセフ・ドルフェール氏から教わったのは、ブリオッシュは水を使わず牛乳と卵を使用すること、バターを柔らかくせず
指で押して硬さが残る程度で練り込みに使用すること、でした」。
なるほど、バターの硬さなどミキシングや焼き上がった後の香りなどに影響がありそうですね
奥田
「今、挙げたのはブリオッシュ作りの定義のようなものだと思っています」。
師匠の教えなのですね。トッピング、練り込みなどアレンジされることが多いブリオッシュですが、印象に残っている製品などあれば紹介ください
奥田
「Kougelhopf Alsacien (アルザスのクグロフ)ポーリッシュ法で仕込んだブリオッシュにサルタナレーズンを練り込み、アルザス地方の陶器型で焼き上げるブリオッシュBrioche à la cannelle(シナモンのブリオッシュ)ドルフェール氏が考案した生地にシナモンシュガーを振りかけ、バタークリーム、ホイップクリームで仕上げるブリオッシュです」。
最後にフランス人にとってのブリオッシュとはどんな存在ですか
奥田
「日本の菓子パンのような存在だと思います。バゲットのような主食ではなく、ハレの日のパンですかね」。
5回の連載有り難うございました。